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-項羽本紀第七より- | ||
項王軍壁垓下。 | 項王の軍垓下に壁す。 | 項王の軍は垓下に籠城していた。 |
兵少食尽。 | 兵少なく食尽く。 | 兵は少なく、食料は底を尽いていた。 |
漢軍及諸侯兵囲之数重。 | 漢軍及び諸侯の兵之を囲むこと数重。 | 漢軍及び諸侯の兵は、項王の軍を幾重にか包囲していた。 |
夜聞漢軍四面皆楚歌、 | 夜漢軍の四面皆楚歌するを聞き、 |
夜、四面の漢軍が、皆楚の歌を歌っているのを聞き、 |
項王乃大驚曰、 | 項王乃ち大いに驚きて曰はく、 | 項王は驚愕して言った。 |
「漢皆已得楚乎。 | 「漢皆已に楚を得たるか。 | 「漢は、すでに楚を手にしたのだろうか。 |
是何楚人之多也。」 | 是れ何ぞ楚人の多きや。」と。 | なんと楚人の多いことか。」 |
項王則夜起飲帳中。 | 項王則ち夜起ちて帳中に飲む。 | 項王は夜起きて幕営の中で酒を飲んだ。 |
有美人、名虞。 | 美人有り、名は虞。 | 虞という名の美人がいた。 |
常幸従。 | 常に幸せられて従ふ。 | いつも項王に愛され、付き従っていた。 |
駿馬、名騅。常騎之。 | 駿馬あり、名は騅。 常に之に騎す。 | 騅という名の駿馬がいた。項王はいつもこの馬に騎乗していた。 |
於是項王乃悲歌?慨、 | 是に於いて項王乃ち悲歌慨し、 | ここに至り、項王は悲しげに歌って嘆き憤り |
自為詩曰、 | 自ら詩を為りて曰はく | 自らこのような詩を作った。 |
「力抜山兮気蓋世 | 「力山を抜き気世を蓋ふ | 「力は山を抜き 気は世を覆った |
時不利兮騅不逝 | 時利あらず騅逝かず | 時に利は無く 騅は進もうとしない |
騅不逝兮可奈何 | 騅の逝かざる奈何すべき | 騅が進もうとしないのをどうすればよいのか |
虞兮虞兮奈若何」 | 虞や虞や若を奈何せん。」と。 | 虞よ虞よお前をどうすればよいのか」 |
歌数?、美人和之。 | 歌ふこと数、美人之に和す。 | 数回歌い、美人もこの詩に応じた。 |
項王泣数行下。 | 項王泣数行下る。 | 項王は幾筋かの涙を流した。 |
左右皆泣、莫能仰視。 | 左右皆泣き、能く仰ぎ視るもの莫し。 | 側近たちも皆泣き、仰ぎ見ることのできるものはいなかった。 |
参考:改訂版古典I漢文編 第一学習社 |
-晏管列伝第二より- | ||
管仲夷吾者、潁上人也。 | 管仲夷吾は、潁上の人なり。 | 管仲夷吾は、潁水のほとり出身である。 |
少時、常与鮑叔牙游。 | 少き時、常に鮑叔牙と游ぶ。 | 若いとき、鮑叔牙と仲がよかった。 |
鮑叔知其賢。 | 鮑叔其の賢なるを知る。 | そのため、鮑叔は管仲の賢さを知っている。 |
管仲貧困、常欺鮑叔、 | 管仲は貧困、常に鮑叔を欺くも、 | 管仲は貧困しており、いつも鮑叔を欺いていたが、 |
鮑叔終善遇之、不以為言。 | 鮑叔終に善く之を遇し、以て言を為さず。 | 鮑叔は最後まで彼を厚遇し、その行いに対して文句をいう事も無かった。 |
已而鮑叔事斉公子小白、 | 已にして鮑叔斉の公子小白に事へ、 | しばらくして、鮑叔は斉の公子小白に仕えることになり、 |
管仲事公子糾。 | 管仲公子糾に事ふ。 | 管仲は公子糾に仕えることになった。 |
及小白立為桓公、 | 小白立ちて桓公と為り、 | 小白が即位して桓公となり、 |
公子糾死、管仲囚焉。 | 公子糾死するに及びて、管仲囚へらる。 | 公子糾が死んで、管仲は捕虜となった。 |
鮑叔遂進管仲。 | 鮑叔遂に管仲を進む。 | 鮑叔は管仲を推挙した。 |
管仲既用、任政於斉。 | 管仲既に用ひられ、政に斉に任ず。 | 管仲は用いられることになり、斉の政治を任された。 |
斉桓公以覇、九合諸侯、 | 斉の桓公以て覇となり、諸侯を九合し、 | 斉の桓公が覇者となり、諸侯を何度も集めて規約を結び、 |
一匡天下、管仲之謀也。 | 天下を一匡せしは、管仲の謀なり。 | 天下を一つにまとめ上げることができたのは、管仲の知恵のおかげである。 |
管仲曰、 | 管仲曰はく、 | 管仲は言った、 |
「吾始困時、嘗与鮑叔賈。 | 「吾始め困しみし時、嘗て鮑叔と賈す。 | 「私は、かつて困窮したときに、鮑叔と店を開いて商売したことがある。 |
分財利多自与。 | 財利を分かつに多く自ら与ふ。 | 利益を分配するとき、私は鮑叔より多くとった。 |
鮑叔不以我為貪。 | 鮑叔我を以て貪と為さず。 | だが、鮑叔は私を欲張りだと思わなかった。 |
知我貧也。 | 我の貧なるを知ればなり。 | 私が貧しいことを知っていたからである。 |
吾嘗為鮑叔謀事、而更窮困。 | 吾嘗て鮑叔の為に事を謀りて、更に窮困す。 | また、かつて鮑叔のために事を画策して失敗し、さらに困窮したことがある。 |
鮑叔不以我為愚。 | 鮑叔我を以て愚と為さず。 | だが、鮑叔は私を馬鹿だとは思わなかった。 |
知時有利不利也。 | 時に有利と不利と有るを知ればなり。 | 時には有利なときと、不利なときがあるのを知っていたからである。 |
吾嘗三仕三見逐於君。 | 吾嘗て三たび仕へて三たび君に逐はる。 |
私は、かつて多くの君主に使えたが、そのたびに君主に首にされた。 |
鮑叔不以我為不肖。 | 鮑叔我を以て不肖と為さず。 | だが、鮑叔は私を愚か者だとは思わなかった。 |
知我不遭時也。 | 我の時に遭はざるを知ればなり。 | 私が時代にあっていないことを知っていたからである。 |
吾嘗三戦三走。 | 吾嘗て三たび戦ひ三たび走ぐ。 | 私は、かつて三戦して三度とも逃げたことがある。 |
鮑叔不以我為怯。 | 鮑叔我を以て怯と為さず。 | だが、鮑叔は私を臆病だとは思わなかった。 |
知我有老母也。 | 我に老母有るを知ればなり。 | 私に老母がいることを知っていたからである。 |
公子糾敗、召忽死之、 | 公子糾敗れ、召忽之に死し、 | 公子糾は敗れ、召忽は殉死し、 |
吾幽囚受辱。 | 吾幽囚せられて辱めを受く。 | 私が拘束され辱めを受けた。 |
鮑叔不以我為無恥。 | 鮑叔我を以て無恥と為さず。 | だが、鮑叔は私を恥知らずだとは思わなかった。 |
知我不羞小節、 | 我の小節を羞ぢずして、 | 私が小さな節義を守らないことを恥じず、 |
而恥功名不顕于天下也。 | 功名の天下に顕はれざるを恥づる知ればなり。 | 功名が天下に知られわたらないことを恥じるのを知っていたからである。 |
生我者父母、知我者鮑子也。」 | 我を生む者は父母、我を知る者は鮑子なり。」と。 | 私を生んでくれたのは両親であるが、私を知ってくれているのは鮑叔殿である。」 |
鮑叔既進管仲、以身下之。 | 鮑叔既に管仲を進めて、身を以て之に下る。 | 鮑叔は既に管仲を推挙して、自らはその部下になっていた。 |
子孫世禄於斉、有封邑者十余世、 | 子孫世斉に禄せられ、封邑を有つこと十余世、 | 子孫は代々、斉に禄を与えられ、封邑を保つこと十数世にわたり、 |
常為名大夫。 | 常に名大夫たり。 | 常に名大夫として存在していた。 |
天下不多管仲之賢 | 天下管仲の賢を多とせずして | 天下の人々は管仲の賢さを賞賛するよりも、 |
而多鮑叔能知人也。 | 鮑叔の能く人を知るを多とするなり。 | 鮑叔の人を見る目を賞賛した。 |
参考文献:高等学校古典I漢文編改訂版 稲賀敬二 森野繁夫 編 第一学習社 史記列伝一 明治書院
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詩経 秦風 無衣 | |
豈曰無衣 | あなたが着物を持っていないとは言わないが |
與子同袍 | 綿入れの着物をともにし、苦難をともにしよう。 |
王于興師 | 帝王が征討軍を発したならば |
修我戈矛 | わたしのほこをととのえて |
與子同仇 | あなたととも戦おう |
豈曰無衣 | あなたが着物を持っていないとは言わないが |
與子同澤 | 戦地で下着を同じくし、苦難をともにしよう。 |
王于興師 | 帝王が征討軍を発したならば |
修我矛戟 | わたしはわたしのほこをととのえて |
與子偕作 | あなたとともに成し遂げよう |
豈曰無衣 | あなたが着物を持っていないとは言わないが |
與子同裳 | 戦地で袴をともにし、苦難をともにしよう。 |
王于興師 | 帝王が征討軍を発したならば |
修我甲兵 | わたしはわたしのよろいと武器をととのえて |
與子偕行 | あなたと偕に戦いに行こう |
春夜 蘇軾 | |
春宵一刻直千金 | 春宵一刻直千金 |
花有清香月有陰 | 花に清香有り月に陰有り |
歌管楼台声細細 | 歌管楼台声細細 |
鞦韆院落夜沈沈 | 鞦韆院落夜沈沈 |
春望 杜甫 | |
国破山河在 | 国破れて山河在り |
城春草木深 | 城春にして草木深し |
感時花濺涙 | 時に感じては花にも涙を濺ぎ |
恨別鳥驚心 | 別れを恨んでは鳥にも心を驚かす |
烽火連三月 | 烽火三月に連なり |
家書抵万金 | 家書万金に抵たる |
白頭掻更短 | 白頭掻けば更に短く |
渾欲不勝簪 | 渾べて簪に勝えざらんと欲す |
春暁 孟浩然 | ||
春眠不覚暁 | 春眠暁を覚えず | 春の夜明けにうとうとしてると |
処処聞啼鳥 | 処処啼鳥を聞く | あちこち鳥の鳴き声が聞こえる |
夜来風雨声 | 夜来風雨の声 | 昨夜は雨風の音がしていたけれど |
花落知多少 | 花落つること知んぬ多少ぞ | 花はどれほど散ったのだろう |
−曹操 − | |
對酒當歌 | 酒を飲んだら大いに歌おうではないか |
人生幾何 | 人の命はどれほどのものだろうか |
譬如朝露 | 例えるなら朝露の様なもの |
去日苦多 | 過ぎ去った日々は、はなはだ多いが。 |
慨當以康 | 歌声がたかぶり、いきどおりなげく声は、高くなっていくが |
幽思難忘 | それでも忘れられない思いがあるなら |
何以解憂 | 何をもってその憂いを解くかといえば |
唯有杜康 | そう、ただ酒のみである |
青 青 子 衿 | 遥かに離れていく青い襟の愛しい人(人材)よ |
悠 悠 我 心 | はるかになっていくわたしの思い |
但 為 君 故 | ただ、あなたのためゆえに |
沈 吟 至 今 | 深く静かにあなたを思って歌ってきて、今に至っている |
幼 幼 鹿 鳴 | イウイウとシカが鳴き |
食 野 之 苹 | 仲間とともに野原のヨモギを食んでいる |
我 有 嘉 賓 | そのように私は、立派な客人とともに、 |
鼓 瑟 吹 笙 | 大琴をかき鳴らし笛を吹いて楽しみたいと思う |
明 明 如 月 | 月のように、はっきりとしていても |
何 時 可 綴 | (人材は)いつまでたっても手に取れるものではない |
憂 従 中 来 | 心のうちから生ずる憂いも、 |
不 可 断 絶 | 断ち切ることはできない |
越 陌 度 阡 | だが君は、はるばる遠い道を越え |
枉 用 相 存 | わざわざ訪ねて来てくれた |
契 濶 談 讌 | 久しぶりに飲み語らって |
心 念 舊 恩 | かつてのよしみをあたためなおそう |
月 明 星 稀 | 月が明るいので、星影が目立たなくなっている |
烏 鵲 南 飛 | カササギ(人材)が南へ飛ぼうとして |
繞 樹 三 匝 | ぐるぐると木のまわりを三度めぐり |
何 枝 可 依 | 宿るべき枝を探しあぐねている |
山 不 厭 高 | 山は高ければ高いほどいい |
海 不 厭 深 | 海は深ければ深いほどいい |
周 公 吐 哺 | むかし周公は、食事を中断してまで訪ねてくる士の応対につとめた |
天 下 歸 心 | だから、天下の人々がみな心を寄せたのだ |
『短歌行』 |
月下独酌 李白 | |
花間一壷酒 | 花間一壷の酒 |
独酌無相親 | 独り酌んで相親しむ無し |
挙杯邀明月 | 杯を挙げて明月を邀え |
対影成三人 | 影に対して三人と成る |
月既不解飲 | 月既に飲を解せず |
影徒随我身 | 影徒らに我が身に随う |
暫伴月将影 | 暫く月と影とを伴いて |
行楽須及春 | 行楽須らく春に及ぶべし |
我歌月徘徊 | 我歌えば月徘徊し |
我舞影凌乱 | 我舞えば影凌乱す |
醒時同交歓 | 醒むる時は同に交歓し |
酔後各分散 | 酔うて後は各分散す |
永結無情遊 | 永く無情の遊を結び |
相期バク雲漢 | 相期して雲漢はるかなり |
出師の表 諸葛亮孔明 | ||
五年、率諸軍北、駐漢中。 | 五年、諸軍を率いて北し、漢中に駐す。 | |
臨発上奏曰。 | 発するに臨みて上奏して曰はく、 | |
「 先帝創業未半而中道崩御。 | 「先帝創業未だ半ばならずして中道に崩御せり。 | |
今天下三分益州疲弊。 | 今天下三分し益州は疲弊す。 | |
此誠危急存亡之秋也。 | 此れ誠に危急存亡の秋なり。 | |
然侍衛之臣、不懈於内、 | 然れども侍衛の臣、内に懈らず、 | |
忠志之士忘、身於外者、 | 忠志の士、身を外に忘るるは、 | |
蓋追先帝之殊遇、 | 蓋し先帝の殊遇を追ひ、 | |
欲報之陛下也。 | 之を陛下に報いんと欲すればなり。 | |
誠宜開張聖聴以光先帝遺徳、 | 誠に宜しく聖聴を開張し以て先帝の遺徳を光らかにし | |
恢弘志士之気。 | 志士の気を恢弘すべし。 | |
不宜妄自菲薄引喩失義、 | 宜しく妄りに自ら菲薄し、喩へを引き義を失ひ、 | |
以塞忠諫之路也。 | 以て忠諫の路を塞ぐべからず。 | |
宮中府中倶為一体、 | 宮中府中は倶に一体と為り、 | |
陟罰臧否不宜異同。 | 陟罰臧否するに宜しく異同あるべからず。 | |
若有作姦犯科、 | 若し姦を作し科を犯し、 | |
及為忠善者、 | 及び忠善を為す者有らば、 | |
宜付有司論其刑賞 | 宜しく有司に付して其の刑賞を論じ、 | |
以昭陛下平明之理。 | 以て陛下の平明の理を昭らかにすべし。 | |
不宜偏私使内外異法也。 | 宜しく偏私して内外をして法に異にせしむべからず。 | |
侍中侍郎郭攸之・費偉・董允等、 | 侍中侍郎郭攸之・費偉・董允等は、 | |
此皆良実志慮忠純。 | 此れ皆良実にして志慮忠純なり。 | |
是以先帝簡抜以遺陛下。 | 是を以て先帝簡抜して以て陛下に遺せり。 | |
愚以為宮中之事、 | 愚以為へらく宮中の事、 | |
事無大小悉以咨之、 | 事大小と無く悉く以て之に咨り、 | |
然後施行、 | 然る後に施行せば、 | |
必能裨補闕漏有所広益。 | 必ず能く闕漏を裨補し広益する所有らん、と。 | |
将軍向寵、性行淑均、堯暢軍事。 | 将軍向寵は、性行淑均、軍事に堯暢す。 | |
試用於昔日、先帝称之曰能。 | 昔日に試用せるとき、先帝之を称して能と曰ふ。 | |
是以衆議挙寵以為督。 | 是を以て衆議寵を挙げて以て督と為す。 | |
愚以為営中之事、悉以咨之、 | 愚以為へらく営中の事、悉く以て之に咨らば、 | |
必能使行陣和睦、優劣得所。 | 必ず能く行陣をして和睦し、優劣所を得しめん、と。 | |
親賢臣遠小人、 | 賢臣に親しみ小人を遠ざくる、 | |
此先漢所以興隆也。 | 此れ先漢の興隆せし所以なり。 | |
親小人遠賢臣、 | 小人に親しみ賢臣を遠ざくる、 | |
此後漢所以傾頽也。 | 此れ後漢の傾頽せし所以なり。 | |
先帝在時、毎与臣論此事、 | 先帝在りし時、臣と此の事を論ずる毎に、 | |
未嘗不歎息痛恨於桓霊也。 | 未だ嘗て桓・霊に歎息痛恨せずんばあらざりしなり。 | |
侍中・尚書・長史・参軍、 | 侍中・尚書・長史・参軍は、 | |
此悉貞良死節之臣。 | 此れ悉く貞良死節の臣なり。 | |
願陛下親之信之。 | 願はくは陛下之に親しみ之を信ぜよ。 | |
則漢室之隆、可計日而待也。 | 則ち漢室の隆んなること、日を計りて待つべきなり。 | |
臣本布衣、躬耕於南陽。 | 臣は本より布衣、躬ら南陽に耕す。 | |
苟全性命於乱世、 | 苟くも乱世に性命を全うし、 | |
不求聞達於諸侯。 | 聞達を諸侯に求めず。 | |
先帝不以臣卑鄙、 | 先帝臣の卑鄙なるを以てせず、 | |
猥自枉屈、 三顧臣草廬之中、 | 猥りに自ら枉屈し、臣を草廬の中に三たび顧み、 | |
諮臣以当世之事。 | 臣に諮るに当世の事を以てす。 | |
由是感激、 | 是に由りて感激し、 | |
遂許先帝以駆馳。 | 遂に先帝を許すに駆馳を以てす。 | |
後値傾覆、受任於敗軍之際、 | 後傾覆に値ひ、任を敗軍の際に受け | |
奉命於危難之間。 | 命を危難の間に奉ず。 | |
爾来二十有一年矣。 | 爾来二十有一年なり。 | |
先帝知臣謹慎。 | 先帝臣の謹慎なるを知る。 | |
故臨崩、寄臣以大事也。 | 故に崩ずるに臨みて、臣に寄するに大事を以てす。 | |
受命以来夙夜憂歎、 | 命を受けて以来夙夜憂歎し、 | |
恐託付不効以傷先帝之明。 | 託付の効あらず以て先帝の明を傷つけんことを恐る。 | |
故五月渡濾深入不毛。 | 故に五月濾を渡りて深く不毛に入る。 | |
今南方已定兵甲已足。 | 今南方已に定まり兵甲已に足る。 | |
当奨率三軍北定中原。 | 当に三軍を奨率して北のかた中原を定むべし。 | |
庶竭駑鈍攘除姦凶、 | 庶はくは駑鈍を竭くして姦凶を攘ひ除き、 | |
興復漢室還于旧都。 | 漢室を興復して旧都に還さん。 | |
此臣之所以報先帝而忠陛下之職分也 | 此れ臣の先帝に報いて陛下に忠なる所以の職分なり。 | |
至於斟酌損益進尽忠言、 | 斟酌損益し忠言を進め尽くすに至りては、 | |
則攸之・偉・允之任也。 | 則ち攸之・偉・允の任なり。 | |
願陛下託臣以討賊興復之効。 | 願はくは陛下臣に託すに討賊興復の効を以てせよ。 | |
不効則治臣之罪、 | 効あらずんば則ち臣の罪を治め、 | |
以告先帝之霊。 | 以て先帝の霊に告ぐべし。 | |
(若無興徳之言則) | (若し興徳の言無くんば則ち) | |
責攸之・費偉・允等之慢、 | 攸之・費偉・允等の慢を責め、 | |
以彰其咎。 | 以て其の咎を彰らかにせよ。 | |
陛下亦宜自謀、 | 陛下も亦宜しく自ら謀りて、 | |
以諮諏善道察納雅言、 | 以て善道を諮諏して雅言を察納し、 | |
深追先帝遺詔。 | 深く先帝の遺詔を追ふべし。 | |
臣不勝受恩感激。 | 臣恩を受けて感激に勝へず。 | |
今当遠離。 | 今当に遠く離るべし。 | |
臨表涕零、 | 表に臨みて涕零ち、 | |
不知所言。」 | 言ふ所を知らず。」と。 | |
参考文献:三国志 宮川尚志 明徳出版社
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七歩詩 魏 曹植 | |
煮豆燃豆箕 | 豆を煮るに豆の箕を燃く |
豆在釜中泣 | 豆は釜中に在って泣く |
本是同根生 | 本是れ同根より生ず |
相煎何太急 | 相煎る何ぞ太だ急なる |
-性悪篇第二十六より- | |
人之性悪。 其善者偽也。 | 人の性は悪なり。其の善なる者は偽なり。 |
今、人之性、生而有好利焉。 | 今、人の性、生まれながらにして利を好むこと有り。 |
順是、故争奪生而辞譲亡焉。 | 是に順ふ、故に争奪生じて辞譲亡ぶ。 |
生而有疾悪焉。 | 生まれながらにして疾悪有り。 |
順是、故残賊生而忠信亡焉。 | 是に順ふ、故に残賊生じて忠信亡ぶ。 |
生而有耳目之欲、 | 生まれながらにして耳目の欲有り、 |
有好声色焉。 | 声色を好むこと有り。 |
順是、故淫乱生而礼義文理亡焉。 | 是に順ふ、故に淫乱生じて礼義・文理亡ぶ。 |
然則従人之性、順人之情、 | 然らば則ち人の性に従ひ、人の情に順はば、 |
必出於争奪、合於犯分乱理、而帰於暴。 | 必ず争奪に出で、犯分乱理に合して、暴に帰す。 |
故必将有師法之化、 | 故に必ず将に師法の化、 |
礼義之道、 然後出於辞譲、 | 礼義の道有りて、 然る後に辞譲に出で、 |
合於文理、而帰於治。 | 文理に合して、治に帰せんとす。 |
用此観之、 | 此を用て之を観ば、 |
然則人之性悪明矣。 | 然らば則ち人の性の悪なるは明らかなり。 |
其善者偽也。 | 其の善なる者は偽なり。 |
基礎からベスト基本問題集 漢文 阿部正路 学研 荀子上 藤道明保監修 戸川芳朗 関口順訳 学習研究社 |
-告子章句上より- | |
告子曰、 | 告子曰はく、 |
「性猶湍水也。 | 「性は猶ほ湍水のごときなり。 |
決諸東方、則東流、 | 諸を東方に決すれば、則ち東流し、 |
決諸西方、則西流。 | 諸を西方に決すれば、則ち西流す。 |
人性之無分於善不善也、 | 人の性の善不善を分かつ無きは、 |
猶水之無分於東西也。」 | 猶ほ水の東西を分かつ無きがごときなり。」と。 |
孟子曰、 | 孟子曰はく、 |
「水信無分於東西、 | 「水は信に東西を分かつ無きも、 |
無分於上下乎。 | 上下を分かつ無からんや。 |
人性之善也、 | 人の性の善なるは、 |
猶水之就下也。 | 猶ほ水の下きに就くがごときなり。 |
人無有不善、 | 人善ならざること有る無く、 |
水無有不下。 | 水下らざること有る無し。 |
今夫水、搏而躍之、 | 今夫れ水は、搏ちて之を躍らせば、 |
可使過?、 | ?を過ごさしむべく、 |
激而行之、可使在山。 | 激して之を行れば、山に在らしむべし。 |
是豈水之性哉。 | 是れ豈に水の性ならんや。 |
其勢則然也。 | 其の勢則ち然らしむるなり。 |
人之可使為不善、 | 人の不善を為さしむべきは、 |
其性亦猶是也。」 | 其の性も亦猶ほ是くのごとければなり。」と。 |
参考文献:古典I漢文編 稲賀敬二 森野繁夫編 第一学習社 |
孫子の兵法 始計篇 | |
(孫子曰) | (孫子曰) |
兵者、国之大事、死生之地、存亡之道。 | 兵は、国の大事にして、死生の地、存亡の道。 |
不可不察也。 故経之以五事。 | 故に之を経むるに五事を以てす。 |
(校之以計而索其情) | (校之以計而索其情) |
一曰道、二曰天、三曰地、 | 一に曰はく道、二に曰はく天、三に曰はく地、 |
四曰将、五曰法。 | 四に曰はく将、五に曰はく法。 |
道者、令民与上同意也。 | 道とは、民をして上と意を同じくせしむるなり。 |
故可以与之死、 | 故に以て之と死すべく、 |
可以与之生而不畏危。 | 以て之と生くべくして危きを畏れず。 |
天者、陰陽・寒暑・時制也。 | 天とは、陰陽・寒暑・時制なり。 |
地者、遠近・険易・広狭・死生也。 | 地とは、遠近・険易・広狭・死生なり。 |
将者、智・信・仁・勇・厳也。 | 将とは、智・信・仁・勇・厳なり。 |
法者、曲制・官道・主用也。 | 法とは、曲制・官道・主用なり。 |
凡此五者、将莫不聞。 | 凡そ此の五者は、将聞かざるは莫し。 |
知之者勝、不知者不勝。 | 之を知る者は勝い、知らざる者は勝たず。 |
故校之以計、而索其情。 | 故に之を校ぶるに計を以てして、其の情を索む。 |
曰、主孰有道、将孰有能、 | 曰はく、主孰れか道有る、将孰れか能有る、 |
天地孰得、 法令孰行、 | 天地孰れか得たる、法令孰れか行はる、 |
兵衆孰強、 士卒孰練、 | 兵衆孰れか強き、 士卒孰れか練れたる、 |
賞罰孰明。 | 賞罰孰れか明らかなる、と。 |
吾以此知勝負矣。 | 吾此を以て勝負を知る。 |
将聴吾計、用之、必勝。 | 将吾が計を聴きて、之を用ゐれば、必ず勝たん。 |
留之。 | 之を留む。 |
将不聴吾計、用之、必敗。 | 将吾が計を聴かずして、之を用ゐれば、必ず敗れん。 |
去之。 | 之を去らしむ。 |
計利以聴、 | 利を計りて以て聴かるれば、 |
乃為之勢、以佐其外。 | 乃ち之が勢を為し、以て其の外を佐く。 |
勢者、因利而制権也。 | 勢とは、利に因りて権を制するなり。 |
兵者、詭道也。 | 兵とは、詭道なり。 |
故能而示之不能、 | 故に能なるに之に不能を示し、 |
用而示之不用、 | 用にして之に不用を示し、 |
近而示之遠、 | 近くして之に遠きを示し、 |
遠而示之近、 利而誘之、 | 遠くして之に近きを示し、 利して之を誘ひ、 |
乱而取之、 実而備之、 | 乱して之を取り、 実にして之に備へ、 |
強而避之、 怒而撓之、 | 強くして之を避け、 怒らしめて之を撓し、 |
卑而驕之、佚而労之、 | 卑くして之を驕らせ、佚にして之を労し、 |
親而離之、 攻其無備、 | 親しみて之を離し、 其の無備を攻め、 |
出其不意。 | 其の不意に出づ。 |
此兵家之勝、 | 此は兵家の勝なれど、 |
不可先傳也。 | 先に傳ふべからざるなり。 |
夫未戦而廟?、 | 夫れ未だ戦はずして廟?するに、 |
勝者得?多也。 | 勝つ者は?を得ること多し。 |
未戦而廟?、 | 未だ戦はずして廟?するに、 |
不勝者得?少也。 | 勝たざる者は?を得ること少し。 |
況於無?乎。 | 況んや?無きに於いてをや。 |
吾以此観之、勝負見矣。 | 吾此を以て之を観れば、勝負見はる。 |
参考文献:「孫子呉子」天野鎮雄 明治書院 「『孫子の兵法』を身につける本」是本信義 中経出版 |
孫子の兵法 作戦篇 | |
(孫子曰) | (孫子曰) |
凡用兵之法、 | 凡そ兵を用ふるの法は、 |
馳車千駟、革車千乗、帯甲十万、 | 馳車千駟、革車千乗、帯甲十万、 |
千里饋糧、則内外之費、賓客之用、 | 千里に糧を饋れば、則ち内外の費、賓客の用、 |
膠漆之材、 車甲之奉、日費千金、 | 膠漆の材、 車甲の奉、日に千金を費やして、 |
然後十万之師挙矣。 | 然る後に十万の師挙ぐ。 |
其用戦也、 | 其の戦ひを用ふるや、 |
勝久則鈍兵挫鋭。 | 勝ちても久しければ則ち兵を鈍らし鋭を挫く。 |
攻城則力屈、 | 城を攻むれば則ち力屈し、 |
久暴師則国用不足。 | 久しく師を暴せば則ち国用足らず。 |
夫鈍兵挫鋭、屈力殫貨、 | 夫れ兵を鈍らし鋭を挫き、力を屈し貨を殫かせば、 |
則諸侯乗其弊而起。 | 則ち諸侯其の弊に乗じて起こさん。 |
雖有智者、不能善其後矣。 | 智者有りと雖も、其の後を善くする能はず。 |
故兵聞拙速。 | 故に兵は拙速を聞く。 |
未睹巧之久也。 | 未だ巧の久しきを睹ざるなり。 |
夫兵久而国利者、未之有也。 | 夫れ兵久しくして国に利あるは、未だ之れ有らざるなり。 |
故不尽知用兵之害者、 | 故に尽く兵を用ふるの害を知らざる者は、 |
不能尽知用兵之利也。 | 尽く兵を用ふるの利を知る能はざるなり。 |
善用兵者、役不再籍、 | 善く兵を用ふる者は、役、再び籍せず、 |
糧不三載、 取用於国、因糧於敵。 | 糧、三たび載せず、 用を国に取り、糧を敵に因る。 |
故軍食可足也。 | 故に軍食足るべきなり。 |
国之貧於師者、遠輸。 | 国の師に貧しきは、遠く輸せばなり。 |
遠輸即百姓貧。 | 遠く輸せば即ち百姓貧し。 |
近於師者貴売。 | 師に近き者は貴く売る。 |
貴売則百姓財竭。 | 貴く売れば則ち百姓財竭く。 |
財竭則急於丘役。 | 財竭けば則ち丘役に急なり。 |
力屈財殫中原、内虚於家、 | 力屈し財中原に殫き、内は家に虚しく、 |
百姓之費、十去其七。 | 百姓の費、十に其の七を去る。 |
公家之費、破車罷馬、 | 公家の費、車を破り馬を罷らし、 |
甲冑弓矢、 戟楯矛櫓、 | 甲冑弓矢、 戟楯矛櫓、 |
丘牛大車、十去其六。 | 丘牛大車、十に其の六を去る。 |
故智将務食於敵。 | 故に智将は務めて敵に食す。 |
食敵一鍾、当吾二十鍾、 | 敵の一鍾を食すは、吾が二十鍾に当たり、 |
稈一石、当吾二十石。 | 稈一石は、吾が二十石に当たる。 |
故殺敵者怒也。 | 故に敵を殺すは怒りなり。 |
取敵之利者貨也。 | 敵の利を取るは貨なり。 |
車戦得車十乗以上、賞其先得者、 | 車戦して車十乗以上を得ば、其の先づ得たる者を賞し、 |
而更其旌旗、 車雑而乗之、 | 而して其の旌旗を更へ、 車は雑へて之に乗り、 |
卒善而養之。 | 卒は善くして之を養ふ。 |
是謂勝敵而益強。 | 是れ敵に勝ちて強を益すと謂ふ。 |
故知兵将、民之司命、 | 故に兵を知る将は、民の司命にして、 |
国家安危之主也。 | 国家安危の主なり。 |
参考文献:「孫子の兵法」安藤亮 日本文芸社
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